初めての確定申告、経費の分類の仕方(準備編)

そろそろ平成27年も、あと2ヶ月、残すところ61日、もう304日は終わったんですねー。年末になると気になるのが来年早々から手をつけることになる確定申告準備かなということで、フリーランス初心者で質問の多い、確定申告のための経費仕訳について紹介してみます。

そもそも白色申告でも仕訳が必要か?

仕訳を紹介する前に、そもそも「経費とは?」という話も必要かもしれませんね。

確定申告とは、一年間の「儲け」「確定」して国税庁に「申告」するというイベントです。面倒くさがりやさんは「いくら稼いだって、稼いでなくたってオレの勝手だ!!!」というタンカを切りたくなるかもしれませんが、儲けたお金に応じて税金を納めるのが国民の義務です。多く儲けた人は沢山税金を、少なく儲けた人は少なめの税金を払うためにも、儲けた分を申告する必要があるわけです。

いま、説明する手前一年の「儲け」と言ったのが、いわゆる「所得金額」です。所得に応じて税金の額や比率(所得税も住民税も)は違いますし、多く払いすぎた場合は還付といって余分に払った分のお金が戻ります。取引先からの振込が前提で、所得税の1割天引きが前提となるライターやデザイナーといったフリーランス業なら大抵は税金が戻ってくるはず。

商売で売上をあげるたには、たいてい経費がかります。たとえば、小売さんなら「仕入れ」のためにお金を払ってますよね。「売上」から「仕入やその他諸々の経費」を除いたものが、「儲け」です。

「売上」‑「諸々の経費」=「儲け(所得)」

というわけで、儲けを申告するには「売上」から「経費」を引くだけ。そのためには売上と経費の一覧を用意する必要があるわけです。

1年分の「売上」については極端に手間を省くなら、銀行の振り込み金額を足し算すればわかります。もう少しちゃんとするなら、提出した請求書を並べて足し算する方法もあります。(もちろん、小売りや現金商売なら都度細かい記録が必要ですね)。一方で、「経費」を形状する作業はもっと細かい作業がだいたいは必要になります。

最初に戻りますが、「なぜ仕訳が必要か?」です。「経費」は「自分の本業で売上を上げるために支払う必要があったお金」を計上することですが、その経費の明細といえば、事務所の家賃から電車賃、バイトが使う消しゴム代からお客さんにお詫びするために持っていたお茶菓子なんかに至るまで、様々なものがあるわけです。それを「ちゃんと調べてきちんと足し算しましたよ」ということを証明するためにも、経費の仕訳作業というのは、一役果たしていると言えるでしょう。

もちろん、もっと会計・簿記の目線でみたら、仕訳は商売のお金の行き来を管理するために必要なものなのですが、とりあえず、確定申告だけ乗り切りたいのであれば、経費の仕訳をとりあえずやる、という感じになります。

経費をきちんと申告するために仕訳する必要がある

では、なぜ経費をちゃんと仕訳しないとならないのか。それは、話はちょっと飛びますが、確定申告に使う用紙をご覧になるとよいと思います。白色申告で使う、収支内訳書(一般用) というやつをダウンロードします。

白色申告の方が売上と経費を書き込んで、一年間の所得を申告する書類として使うものです。この書類をちょっとみると分かるとおり、左列の下半分から中央の列のほぼ全部の行が「経費」覧になっています。つまり、経費一式150万円とかドンブリで書くのはNGで、「給与賃金」「外注経費」〜「雑費」までの欄に、使った種類順に分類したうえで、それぞれの小計を入れてよね!というふうなっています。きちんと管理していれば、これくらいは自然とできるでしょう、ということでしょうかね。

用紙が今のようになった本当の経緯は知りませんが、この申告用紙にきちんと入力して提出するため、という目的のためには、必然的にそれなりにきちんと仕訳せざるをえません。

では経費を仕分けるため何をすればよいか

では、この長ったらしい経費欄を埋めるのに必要なものは? まずは資料を集めます。ずばりそれが経費としてお金を払ったと証明できる「支払った記録」ともうひとつは「それが仕事に必要であったかどうか説明できる理由」です。順に説明しましょう。

まずは、「お金を支払った記録」です。経費のためには「レシートが必要」「レシートはNGで領収書が必要」といったお話を聞いたことはある人が大半だと思いますが、ぶっちゃけ、フリーランスであれば、レシートのみで大丈夫です(会社の経理でも一部認められているところはあるかもしれません)。また、レシートが無くてもクレジットカードの明細のように「何のための代金か、いつ支払ったか、誰に誰が支払ったか、いくら支払ったか、」の情報が明確であれば、OKです。たとえばアマゾンで買った資料はクレジットカードとアマゾンの「発送履歴」に記録が残っているので、両方を合わせればレシートがなくても大丈夫です。アマゾンの「納品書」は「領収書」ではないので捨てても大丈夫です。

一年間に支払ったお金の記録を集める、これが第一段階。

次にそれが仕事に必要であったのか、検証しながら、仕訳を行います。コンビニで買ったお弁当とお菓子と缶ビールを買ったのレシートは何枚あっても「家計費(事業主個人の生活費)」であって、仕事のための「経費」ではありません。家計簿を付けたいのでなければ全部すぐに捨てちゃいましょう。

経費仕訳の具体例

では、次。レシートなりクレジットカードなどの購入記録で「ハードディスク購入」の記録が手元にあったとします。仕事で使うパソコンのバックアップ用です。これは100%と大丈夫じゃないでしょうか。これは経費として「仕訳」けたいと思います。その細かい分類(科目)をどうするかですが、一般的には「消耗品費」に仕分ければいいでしょう。

先程の内訳書に記載されている経費一覧を見渡すと、フリーで仕事を始めたばかりの人にはあまり縁のない項目がたくさんありますよね。ざっと見ていってもIT費用をのせるのにバッチリふさわしい分類名が見当たりません。「雑費」かしら…とも思いますが、「雑費」は基本的に0に近いほうがよいとされている(雑費と決められているか、どうしても分類できないものに割り当てるのです)ので高額品はまず仕分けないルールです。

もちろん、ハードディスクを新しい科目として「IT用品費」で立ててもいいです。その場合は、ほかにも同じ項目に入る購入品や経費があるか、検討を付けてから決めましょう。古臭い分類はやめ、斬新な科目を立てたいと思う衝動もあるかもしれませんが、ちょっと待って。

なんといっても、所定の記入用紙には、経費の種類を新たに5項目しか立てられないというスペース上の都合があります。使わない項目を消してその分だけ増やせれば楽かもしれませんが、所定用紙だしそうもいきません。あれこれ工夫せず、テンプレ通りにやったほうがチェックする側もされる側も穏便に事が済みます。工夫するパワーは本来の業務に取っておきましょう。

ちなみに、消耗品費は、鉛筆や事務所で使うティッシュペーパーをはじめ、ハードディスクや10万円までパソコン機器など、使ってしばらくすると使えなくなるものは「消耗品」として計上すればOKです。そうなると何でもかんでも消耗品になっちゃうのかなあ、という方もいるでしょう。なので、やはりある程度自分の業務に向いた経費科目は立てるべきです。たとえば企画書などを作成するために必要な本とCDも消耗品でもOKですが、数量が多いならば「資料費」や「図書費」といった項目を起こしましょう。

以上のように、仕事に使ったお金をその記録を確認しながら何のための経費か記録すること、これが経費の仕訳作業の主な作業です。

この全部の記録は保管用に(「帳簿の保存義務」があるので 何月何日 何を誰から買ったという一覧表)残しておき、その上で、科目ごとに合計額を申告用の内訳書には記入し申告するのが合計額だけです。一覧を作るには「帳簿ソフト」的なものと使う人もいれば「エクセル」に入力してsumで出すという人も居ます。エクセルで帳簿をつくる場合もあるそうです。合計額だけならテキトーでもいいのでは??という気持ちがわくめんどくさがりやさんもいると思いますが、税務調査が入った場合は、記載内容の根拠となる書類などが求められることになるため、良識がある人はあまりテキトーなことは避けるべきでしょう。

どちらにせよ、年末の段階では、経費の根拠となるレシートや支払った記録などの資料を着実に揃えておくことが重要でしょう。

経費の仕訳詳細にはこの本がおすすめです。会社員用ですが、個人事業主も十分使えます。

経費で落ちるレシート・落ちないレシート

確定申告時に必要になるのに忘れやすい資料

まず、経費の記録をクレジットカード明細や銀行の引き落とし明細をもとに付ける必要がある人は、クレジットカードの明細書を捨てていないか、オンラインのサービスを参照する場合に「以前の月の記録をバックアップしているか」確認しましょう。手書きよりコピペのがナンボも楽です。

また、10月には、国民年金や保険会社から保険料の支払い証明書が届いていると思います。たとえば、こういうやつです。これは、所得控除を受けるために(税金を低く抑えます)必要な書類なので、大切に、忘れない場所にまとめておきましょう。

たとえば下の写真は「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」というやつです。差し出し人は日本年金機構、はがせるハガキでこの季節に届きます。控除を受けたいのに書類を無くしてしまった場合は、再発行が必要になるので地域の年金事務所に問い合わせる必要が出てきます。捨ててしまわないよう、ご注意を。

↑国民年金を毎月収めていれば、10月までは「見込み」として一年分の支払い額に追加されます。③に記載されている金額を所得控除欄(確定申告書Bなど、上に紹介した内訳書の書類ではありませんです)に記入し、申告時には一緒に添付して提出します。

つい忙しくて郵便なんかとごっちゃにしていると、なかなか見つからないのですよね。(*´Д`*)
気をつけましょう。

おまけ:昨年の今頃は青色申告の本を出してましたが、申告に関する質問はけっこうあったりするのですが、白色から青色シフトは意外と少なかったんじゃ無いかなあと思ったのが実感でした。なるべくお金に触れたくないっていう人はけっこう居るんだな、というのが感想でした。

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