雑感、雑感。電子書籍なビジネス

アップルは、2013年3月5日 iBookstoreサービスを日本でローンチ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1303/06/news038.html

Amazon KindleやGoogle Play Booksに加えてアップルも「上陸」したことで、数年前から予想されてきた大規模な電子書籍書店サービスは揃ったことになる。実際に目にして、使ってみたiBookstoreの感想は、iPhoneのユーザーとしてはとてもよいエクスペリエンス、でも販売業者としては微妙な気持ちだ。

iBookstoreはすごくステキなオンラインストアだけれど、ユーザーはiPhoneユーザーに限られるので販売傾向もその方向にひっぱられるのではないかと思う。現状ではマンガコンテンツが上位をひしめいていて、激しく急勾配の「一人勝ち」販売数が出ているという(伝え聞き)。レコメンドとか検索が充実してきたり、iBooksによるiTunes U コンテンツの販売なども今後あると思うので、まだまだ大きな可能性は秘めているけれど、いわゆる「テキスト系」を嗜好しているサービスではないので、テキスト本にとっては有利なプラットフォームとは言えないのかなあ等々。またもともと無料か単品99セントが多いアプリ、音楽と同じ場所で勝負することも考えないとならない。電子書籍としてパッケージング化することで課金はしやすくなったけれど、大幅に値崩れしている(商業出版からみた場合)。なんか激戦になりそう。ドメスティックサービスは使いづらいといった意見が多いけど意外に捨てがたいとなって、発売元&販売サイトとも協力しながらサービスが充実していうことになったりしたらうれしい。

いま、電子書籍の販売を主業にしてペイしている事業は日本にあるんだろうか。たんなる想像だけど、企画編集販売で電子書籍を作ってペイしているところより、電子書籍の制作費でペイしているほうが多いのではないだろうか。ビジネスモデルとかよくわからないけれど。。(制作費をレベニューシェアにしたとして、5〜800円の本だったら利く世界だったのが、軒並み90円の本しか売れない、なんて流れになったら10倍以上売らないといけなくなるから、これまた注意しないと大変です)

編集要らず、版元いらずでひとりでも作って売れるのが魅力の電子書籍だが、米国アップルでは「個人的に本を1冊出したいだけの人はデベロッパ登録する前に制作会社に相談してくれ」といったアドバイスを掲示している(Kindleも同様に[データが作れない人はこちらの制作会社がオススメ]というリンクがどこかにあった)。こういう会社は、制作もディストリビュートも見てくれるはず。藤井大洋さんもインタビューなどで言っているけれど、なんでもかんでも1人でできる自費出版。として完結させてしまってうまくドライブする例はまれなので、クオリティを上げたいところ、予算を割いてもいいと思えれば外注したり、協力者を募っていくとよいと思う。もちろん、一人でできるレベルの面白さもあるんだけれど(またそれが能力によって雲泥の差である面白さとクオリティと売り上げがイコールにならない面白さと)。

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そんな最近、境さんのコメントもすごく興味がわく。

電子書籍を売るための労働力や仕組みはいまはまだまだ欠けていて、著者の努力や知名度、偶然のクチコミ(偶然なのか?)といったものが大きな部分を占めている。著者がネットで有名じゃないから売れない。コンテンツがネットで話題にしづらいとか。そういったものを改善できる胡散臭くない手法や業務が確立する必要があるのかも。

関連して、出した本が売れないことに関しては、もともと紙とかでも「売れると思って作ったんだから初速で動かなければプロモーションしようが売れない」。配本の方法や出版社ごとの棚の強さなどいろいろな条件はありますが、書店に足繁くやってくるファンがまったく見向きもしないんだったら、まあ、その条件上では、もう、ほぼダメなんでしょう。。。。何が言いたいかというと、埋もれる速度の早い電子書籍は、スタートダッシュ、初速はさらに重要なんじゃないかと。アマゾンは1時間ごとの売り上げ数で変わるので、いまはまだ、Kindleアマゾンランキングの上位(ランキングが見られる100位以内とか)に食い込むことも、可能かもしれません。

あとたまーに電子書籍のことを熱心に語ると

「もう紙の出版はやめたんですか?」(嫉妬深げにあるいは哀れみの目で)
「電子書籍の業界は儲かりますか?」(興味深げに)

って言われることがあるんだけれど、個人的には電子書籍もやりたいし、紙の書籍も今後もやりたいです。多少なりとも持ち出ししながらしばらく電子書籍のいろいろをやってみて、何がいいか、個人的に一番納得がいっているのが「何がなんでも紙の本じゃないといけない、紙の商業本である限りはこうでなくちゃいけない」っていう呪縛から逃れられることです。小ロットの印刷がどんどん可能になるなかで、初刷りの発行部数がシュリンクしていくのがとにかくつらく、そこでリスクが増えるのは著者だけではないと思っています。電子書籍に向いたコンテンツというのはまだまだあるし、コンテンツそのものは紙にも電子書籍にもなりえるんだけれど、編集制作方法は違うということだけは確かですね。作るモンが違うんで、その辺りの手のかけようは、やればやるほど面白くなりそう。

あとは時間をかけられるほど、ペイするようにできるかどうか。続けるためにはお金が必要です。紙の売り上げを電子に投入というのはナシにしたい。