kobo Touchでの読書は快適かつ「古い」体験

楽天のkobo Touch、多くの方が購入しているのを見て、発売後しばらくのちに購入しました。時間が経ってしまいましたが、個人的な感想を書いてみます。

kobo Touchでの一番の「新鮮な」体験は、久々に旧読書的な体験をしたことでした。

本を読み始めると、読み終わるまで「手が離せない」状態になるというのは、一気読みする人にはよくわかると思います。勉強机の前、電車の中、喫茶店、居間で、ベッドで、ソファで、イスで斜め座りになって、人を待ちながら……とにかくまあ、読んでしまいたい本を1冊持っていると、時間をみつけては、ずっと読んでしまいますよね。

ただ、こういうことを、わたしはもう10年近くしていない気がしました。10年は大げさかもしれないけれど、iモードの発売は1999年のようです。だいたいそのあたりから、つねにメールを見たり、ブラウジングをしたりといったことが可能になって、インターネット時間が隙間時間に入ってきました。そのあとにはチャット、mixi。私はmixiをケータイではあまりしなかったですが隙間時間が埋められていたことはたしかだと思います。その後はiPhone。

まあ、もともと本の虫ではないので、本だけもってうろうろしていること(なんとも言えないのですがそういうニュアンス)は、最近なかったわけです。

先日は、週末ずっと家にいるので、koboで何か落としてみるか~、じゃ、アガサ・クリスティでも読んでみるか~という感じだったのですが、この読んでいる感覚、……妙になつかしい! すっかり読書を堪能し、ゴロゴロして本を読み、お茶をいれて読み、読了の「スタンプ」を押して満足しました。読んだあとにはストアから同じ著者の本をオススメされるのも、本の最後の折の「弊社の○○シリーズ」の広告みたいでいいです。

あらためてKindleが高年層にウケたという話に納得がいったのですが、kobo Touchに限らず、Einkデバイスのようなスローなデバイスで得られるのは、「古い読書体験」だと思います。
しおりがある、クラウドがある、マーカーがオンラインで・・などともいいますが、Einkは遅いのでほとんど使用する気になりません。照明を着けていないとならないので、真っ暗ななかで1人で映画を観るような体験ができるiPadのようなことはありえません。また、単機能なデバイスなので全然便利じゃない。この端末1つ持っていても、隙間時間をインターネットやさまざまなアプリ機能で埋めてしまうことはできないので、読書する以外ない。メールも来ないから邪魔もされない。ちょっと調べたくなっても(和英辞書などはあってもいいようにも思うけれど?)、調べられない。ぎゅううっと押さないと次のページに進まないからうかうか寝返りうったときにページが10ページめくれることもない。でも寝落ちしてもページがわからなくなる心配もないのでいいです。

「新しい読書体験」ももちろん必要、電子教科書や動的な本もほしい。でも、こういう元々の本によく似ているものもありだと思いました。特に小説や古典などは紙に最適化して書かれているはずなので、紙に近い体験が得られる環境で読みやすいのでしょう。週末ののびり読書にはおすすめの端末と思います。