Googleブックス(Google Play 書籍)のすごいところ

2012年9月25日、Googleの電子書籍販売がスタートした。スマートフォンユーザーの半数はiPhoneなので、その後のインパクトに欠ける部分もあるかもしれないが、Googleブックスを使ってみてスゴイ!と思ったところをまとめてみる。

1)シームレスでスピーディな本の購入体験

GoogleのAndroid用のアプリやコンテンツの配布プラットフォーム「Google Playストア」では、パソコンでの操作時はブラウザを使用する。iPhoneの「iTunes」のようなアプリや管理ソフトは無い。

だからアプリ名をググってヒットしたら、Gmailアカウントでログインして購入完了、というシンプルな流れだ。購入の数秒後には、端末にはアプリが自動的にインストール開始される。

この流れで電子書籍を買うことになったとしよう。

夜寝る前、ウェブを見ていてちょっと読みたい本が見つかったとする。それをGoogle Playでポチっと購入する。あなたは、この後、インストールとかダウンロードとか同期とかはしない。そのまま寝てしまっていいのだ。

翌日の昼休みに、ちょっと時間があって、ふと「あー、昨晩、本買ったな」と思い出す。AndroidスマートフォンでGoogle Play ブックスアプリ(なければダウンロードすればよい)を起動して「マイブックス」をタップする。購入したり、ダウンロードした無料の本がサムネール入りで一覧されるのでダウンロードすればすぐに読み始められる。

ダウンロードした本は読み切れなかった。帰りの電車で同じ本をスマホで開いてみる。地下鉄なのでほとんど電波は届かない。しかしこれも問題なく読めるようだ(キャッシュがどの程度かは未確認)

まったく同じことを先日おこなってみたけれど、なんともあっけないほど、スムーズだっだ。

なぜスムーズだと感じたのだろう?

  • ユーザー登録がない
  • 課金登録がない(あらかじめ済ませている人が殆ど)
  • 端末を新たに買わなくていい(スマホ限定だけど。端末はなに?対応は?など不要)
  • アプリの設定がない(起動すればそこに本がある)
  • PCではアプリさえ不要…ウィンドウズユーザーでは「?」という人もいるだろうが、マカーにとってはこれが新鮮。そもそも過去、Mac対応していない日本のネットサービスは多すぎた
  • シンプル…本が並んでいてタップして開くだけ。アプリの遷移とか考えなくていい
  • 本を探す方法がある…スマホでもPCでも
  • オフラインでも読める

とにかくスタート時の負担が少ないんだと思う。

2)本を探す方法がグーグル検索窓になる

本を探すときに、いきなりアマゾンの検索窓で探す人は多いように思う。アマゾンで買えるものは近所の書店でも買わない派だ。一方で、本を探すにもどこで買うか決めてないし、評判も気になるし(ブログチェックも含め)、グーグルでまず検索する、という人もいるだろう。

本来、電子書籍(とできればリアルの本も)を統合的に探すような検索場所があれば、そこで検索して、一番安そうで、早く手に入って、自分の使える環境の電子書店から買うだろう。しかし、いまのところ、ある書名を検索するとアマゾンが必ず出てくるようには、各電子書店の情報が出てきてぱっと選べる(価格.comのように)はなっていない。

そこで、Google のブックス検索だ。

書名で検索する。グーグルウェブ検索で書名を検索する。下図ではアマゾンの広告が出て、トップはアマゾン。次がたまたま紀伊國屋書店、その次はニュースで、次はブログ、次に公式サイト…と雑多な検索結果になる。

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そこで検索オプションから「書籍」を選ぶと…

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上図のようになる。「そうだったのか中国」に近い書名の本が一覧された。すべてGoogleブックスの情報だ。さらに左下のほうにはオプションがあり、「プレビュー利用可能」「Google eBooks」「Google eBook(無料)」の絞り込みなどがあり探しやすい。

Google ブックスの場合、本の情報は(著者の許諾がとれていれば)、電子書籍があろうがなかろうが出てくる。「そうだったのか!中国」はいま無いが、紙で買うリンクが左上にあらかじめあるので、レビューを読んでそのまま購入へ進める。図書館を探すこともできる(下図)。

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さらにプレビューがある本や、電子書籍の販売がある本ならば、より本探しはスムーズになる。気になる本の「プレビュー」をクリックすると本のプレビューが表示される。

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気になる用語に対応したページがあるかを検索して調べることができる。右下で「いいね!」と入力して検索すると、その単語のある本のページが一覧された。クリックしてページを立ち読みできる。

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上記の「ソーシャルメディア〜」本はGoogleの電子書籍があるが、電子書籍販売がなくてもプレビューに対応している本もある。
似た機能にアマゾンのプレビューがあるが、現在のところ、アマゾンのプレビューはほとんど本の中身がわからないしくみで、目次確認程度にしかならない。実際にある技術用語やトピックを調べて原稿を書き、そのことが詳しい本であればすぐに買いたい、という場合はあまり役に立たない(^^;)。Googleブックスくらいに立ち読みに近い(用語検索では立ち読みに勝る)機能があれば、調べ買いがとても楽だ。

  • 情報を得る場面では電子書籍でも紙でもいいから探している本が欲しい。
  • Googleブックス検索なら、Googleブックスであるかを探し、次に紙で買うか電子書籍を買うかの選択ができる
  • プレビュー検索で書籍に必要な情報があるかを確実に「立ち読み」できる
  • 情報をすばやく得るという意味ではストレートな本探しができる

3)自炊タイプは決して悪くない

いま、いち早く買えるGoogle ブックスの本は「自炊タイプ」だ。底本となる書籍をスキャンして画像データ化して順番にならべて1冊の本にする。納品時のPDFを加工して電子書籍にするサービスも多くある(マガストアなどのヤッパ系サービス、フィックスレイアウトタイプのドットブックなどなど)が、Googleは個別にそういう対応はたぶんしてなくて、全部がスキャン画像だと思われる(工程が同じだからだと思う)

スキャンした本にOCRをかけて文字情報を埋め込み(これはPDFの自炊と同じ)検索を可能にしてる。(※読み上げが可能かはわからない… 一応英語ではあるみたい…http://support.google.com/googleplay/bin/answer.py?hl=en&answer=1062965

自炊タイプは、ちょっと慣れてしまえば、読むのはまったく問題ない。版面とデバイスサイズのバランスだけが問題だ。大判の本を読むには、やはり大判の端末がいいけれど、今後1万円を切る端末が出てくれば、「買ってもいいかな」と思う人も増えるのでは。8000円程度であれば、技術書2冊分ですもん。

あと、仕事の調べものするときは、PCブラウザ読むほうが早かったりもして、そうなるとますますディスプレイが大きくなっている現在では自炊でも問題はない、と思えてくる。この場合はスムーズに読めればいいし、検索できればさらに助かるからだ。パラパラと飛ばし読みの読書は難しいが、それでもEinkではないので高速にページをめくることもできる。

ゆったり余暇の本を読む場合はリーダー端末、普段はスマホ、仕事や調べ物はPCで読む、という感じだろうか。
(※アップルがやってくれば…と思うかもしれないが、そもそもアップルはポストPC路線なので、PCが除外されている。またアマゾンには自社のスマホがない。ただしKindleアプリはあり、Kindleアプリはプリントレプリカによって自炊タイプ本が発行できるようにはなっている)

なお、制作ベースはEPUBと言われている。自炊に見えても本はEPUB形式で束ねられている

4)iPhoneやiPadがずっとダメなわけではない

もし、Android端末でしかGoogle Playが使えなかったらそれは伸び悩みも予想されるけれど、今後はiPhone、iPadにも対応していく。最近「Google 便利だったよ!」と再認識したiPhoneユーザーが、Google Playブックスにもチャレンジしてくれるといいですね。

さらにGoogleの本をkoboやsonyリーダー向けに変換することもできるかもしれない。Adobe Digital Editionを使って変換できるみたい。U.S.のサポートビデオを見ると、Google ブックスでの購入時に対応デバイスを確認できるようになっている。

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5)おまけ

Google ブックスはプレビュー機能としては紙の本が検索でき便利なのだが、電子書籍については、Google Playの電子書籍しか探せない。Googleでほかの電子書店の情報も「電子書籍」と認識させられないのかな?というのが希望。商売あがったりだろうか。そこに電子書店が出稿すればいいだけなのかな?(「ほかの書店」リンクは広告出稿ができるのではないかという話があったと思うんだけれどどうだろう?例として希少本の古本販売など)

いまは電子書籍がなければ「アマゾンで買う」「紀伊國屋BookWebで買う」という書店リンクが表示される。微妙なことに、この2つのボタンの先には、紙の書籍だけでなく、各社の電子書籍が販売されている場合もある(紀伊國屋については確認済み。アマゾンはスタートしてないけれど可能性としてはそうなるはず)。いまのところ、Google Playにもアマゾンにも紀伊國屋にもマガストアにも楽天koboにもだしてまーす!という書籍の例が見つからないのでどうかわからないけれど、なんかここは微妙だなあと思う点。