「虚言癖、嘘つきは病気か」が発行されました
ひどい嘘をつく人は病気か?
「家の中にストーカーがいます」でおなじみの精神科のドクター、林公一先生が、電子書籍を緊急出版した。近年、様々な「嘘つき」が世間を騒がせています。つい最近では、
- STAP細胞の証明のため論文画像を改ざんした科学者、小保方晴子氏、
- 1年間に195回出張したと交通費水増し請求した代議士、野々村竜太郎氏、
- 耳が聞こえないふりをしていたばかりかゴーストライターに曲を依頼していた作曲家、佐村河内守氏
などが大きな話題となりました。また、以下のような人もいました。
- iPS細胞を初の臨床利用と読売新聞に載った研究者、森口尚史氏、
- オバマ大統領のスピーチをでたらめな手話で世界に発信したジャンチー氏、
古くは、次のような人の記録もあります。
- ミュンヒハウゼン症候群と名づけられた女性。
- 出兵軍人の家で饗応を受ける特攻隊員だったと偽っていた詐欺師
この人たちは自分の利益のために大嘘をつくのでしょうか。明らかにバレていそうな嘘をつく人もいるのですが、なぜ堂々と嘘をつくのでしょうか。
林先生のもとには、
- 「私は自分を精神障害ではないかと疑ったのは、自分にあまりに嘘が多いという点です(Case 2)」という大学院生、
- 「私は自分の嘘を本当だと思ってしまうのです。(Case 11)」という中学女子、
- 「際限のない/ 虚言/ もちろん大問題ですが、最大の問題は /自分の虚言を事実と思い込んでいる様子(Case 21)」の元恋人
- 「親や祖父母のお金を繰り返し盗み / 明らかに嘘とわかることを/ かたくなに嘘をつき続ける」孫について
など、さまざまな相談が寄せられてきています。本書は、これらの質問に対して、林先生の「精神科Q&A」の手法に加え、虚言適合キーワードを都度照合していくことで、現在の臨床でも扱われていない嘘つきと虚言の理解を深めていこうとする労作です。
これらの質問には、世間を騒がせた話題の人にそっくりな行動を取っているように見える人もいれば、さらに深刻そうな人もいます。別の問題を抱えている?人もいます。
そして本書の最後には、上記に挙げた3人の虚言者に、林先生が切り込みます。林先生ファンのみならず、ニュースの人物を追いかけている方々も、ぜひ、ご一読を。もちろん、興味本位の方も歓迎です。
■参考
こころと悩の相談室
林の奥に掲載されているノルウェイの森の登場人物のついた嘘についても本書で改変執筆されています。
■新刊情報
大好評『家の中にストーカーがいます』(http://www.amazon.co.jp/dp/B00HA0WP4M/)以来の新刊。サイトでは読めない、渾身の書き下ろし中心です!
〈まえがきより〉
本書は、虚言者、または虚言者かもしれないケースの実例集である。だが彼らを非難する本ではない。そういう意図は一切ない。
嘘はいけない。嘘は悪。それが人間社会の普遍ともいえる道徳律だ。嘘つきは泥棒の始まりという言葉もある。それでも本書は、嘘つきを非難しない。記載はする。分析もする。だが非難はしない。
(略)
虚言についての医学的研究は驚くほど少ない。虚言は精神医学の死角にある。
もとより、精神の病とは病気か病気でないかの境界が曖昧なものだ。境界は揺れる。時代によって。文化によって。社会によって。個人の考えによって。そして、時代も文化も社会も、個人の考えの集合から成り立っている。だから、一人ひとりのお考えが何より大切である。虚言癖、嘘つきは病気か。それは本書の44のケースを通して、読者の一人ひとりにお考えいただく問いである。