プリントファーストな電子書籍を考える?

先日出した書籍『EPUB 3 スタンダード・デザインガイド』についてこういうコメントをいただいて、渇を入れられた気分です。

EPUBをメジャーにするには「隗より始めよ」 
http://blog.cas-ub.com/?p=1331

しかし、これらの中でEPUBで提供されているのは「EPUB3用XHTML作成ガイド」だけであとは皆PDFと紙です。推進者がEPUBを使ってないんじゃねー。こんなところにもまだままEPUBがメジャーになれない理由があるのかもしれませんね。」  


 おっしゃるとおりです。そんなこともあり、出版社さまとは、EPUBやPDFでの販売についてあらためてご相談中。今日明日すぐに、とはいわないまでも電子化したいなと考えています。出た暁には、買ってもらえたらいいなあ(余談ですが、本は2冊買ったら2冊分のお金がかかります。電子版と紙版は別々にお金を出してもいい、値段も同じでいい、という方はどれほどいるのでしょう?)。

 

さて、本書をEPUBにするとしたら、どのように再構成するのがよいのでしょうか? いろいろな方から意見を聞いてみたいなあと思います。読みやすさ、本としての魅力、制作コストのかからなさ…。 

こういうレイアウトです→(http://amargon.net/wwe/work2012/Jan.html)

本書の中ではできるだけEPUBでこういうレイアウトができますよ、という可能性と、アダプティブな面とかも考えていただきながら原稿を書いていただいたけれど、最終的にリーダー依存なのであんまりムリすると泥沼だよ、ということもメッセージとして含んであります。

この本は、柱や爪のデザイン、情報の再現はともかく、版面内の情報さえもEPUBではそのまま再現はできないでしょう、いろいろムリがあります(笑)。画像で(いわゆるマンガや絵本EPUBのように)EPUB化するという割り切り方のほうがいいのでは、と達人出版会の高橋さんからはご指摘うけました。

個人的には、コピペ可能なテキスト情報も重要だろうからゼロからEPUB化したほうがいいのかなあなどと悩みますが、ビジュアルサンプル図をどのように見せるかは、けっこう厳しいと予想してます。まず強弱なくならべると読みづらくなります。あまりレイアウトを気にするとデバイス依存問題も出てきます。

と、ちょっと考えてみただけでも、いまある書籍をすらっとEPUBにするには課題がある(もちろんEPUBにすることを前提に制作していないので・笑)。どういうものを作るかについて、こうやってブログで考えながら進めていくのも勉強になるかも。

まあ、書店向けにつくった本をEPUBにするのはかなり厳しい作業ですし今後もそうでしょう。一般実用系のムックや雑誌の制作現場では、いまだに「セマンティック?デジタルファースト?ワンソースマルチユース?はあ??」みたいな感覚だと思いますし。

EPUB版をiBookstoreで売れたらいいかなあ、そんな風にばくぜんと思ったりしてます。