初めての確定申告、経費を実際に仕訳する(実践編)
iPad Proが届かないし、8月に出る予定だったヒアリングデバイスも届かないので、前回の続きをちょっと書きます。
前回はなぜ経費を仕訳しなくちゃならんのかと、経費の記録は基本的にレシートでOKであること、経費の分類は申告に使う用紙のテンプレ通りが一番楽でいいよ、ということを書いてみました。そこで今回は経費の仕訳の実際の作業について書いてみます。
とりあえず経費の仕訳作業開始時に用意するもの
- Excelシート(※オンラインの会計ソフトでもいいですがここでは紹介しません。)
- 分類項目(あとで清書するなら正式名称で管理しなくてもOK)
- 経費の記録となるレシートや領収書
Excelシートの入力項目
誰でも、わりといつも使っているExcelということで、一番手っ取り早く作業できるのでExcelにしましょう。とくに魔法のような仕組みはないですが…(魔法のような設定やマクロを組んで販売してる方もいると思います)。
Excelシートには最低限、経費の金額と摘要(だいたいでも)、仕訳を記入します。(帳簿の記録として本来は使用した日付も記入するのがベストですけれど…まあレシートがあればもしも「いつの購入か」と問われても探すことはできるかもしれませんね)使い方は自由、A列仕訳、B列金額、C列に摘要とかでいんじゃないでしょうか。最終的に仕訳ごとにソートして仕訳単位での小計が出せればいいと思います。
A列の仕訳項目は入力しながら確定でもいいですが、あらかじめ用意しておきましょう。テンプレ通りでは、以下が用意されています。
- 給与賃金
- 外注工賃
- 減価償却費
- 貸倒金
- 地代家賃
- 利子割引料
- 租税公課
- 荷造運賃
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 損害保険料
- 修繕費
- 消耗品費
- 福利厚生費
- その他自由設定(4〜5コまで)
- そして、雑費
多いですよね。
なんだかよくわからない文字列もあります。
でもここで、独立して初めての確定申告、仕事はパソコンを使った制作やなにかというソフト産業(モノを作って販売とかしない)場合はだいたい、以下OKでしょう。
- 地代家賃
- 租税公課
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 接待交際費
- 損害保険料
- 消耗品費
- その他自由設定(4〜5コまで)
- そして、雑費
10個程度になりました。すっきりしますね。
なんかできそうな気がしますよね。
補足ですが、フリーランスであっても給与賃金は家人などに、外注工賃は仕事を委託する場合などに使用します。本当は注意点、メリットなどありますが、もうちょっとレベルが高くなります。人からお金をもらっているだけの場合は不要なので、この短いブログでは省きます。
減価償却費は、また機会があれば書きたいと思います。ひとことで書けば10万円を超える物を買って経費にしたい場合はマストです。
また「福利厚生費」はフリーランスの事業主には絶対ありえません。雇い人の福利厚生費のために平等に使う経費だからです。雇い主には使えないんですよ。。
では、この10コ程度の経費になにを割り当てるか、だいだいの例をあげてみましょう。
地代家賃
事務所の家賃を計上します。自宅の家賃は計上できません。ただし、事務所を借りていない場合は「家事案分」として、自宅のスペースのうち仕事に使っているスペースの割合分だけ家賃を経費計上できます。100%はNGですが5割とか。6割ではダメということもなくどこを使っているかという判断です。
レンタルオフィスやノマドカフェの代金もOKですが、「ならば自宅の案分は?家で本当に仕事をしている?」かどうかはいま一度考慮したほうがよいかもしれませんね。事務所の家賃には、別のページに詳細記入欄があるので内訳として更新料と家賃、家主の連絡先、家賃のうちいくらを経費として申告したかを記入する欄があります。ここの金額と経費金額は一致している必要があります。
租税公課
事業にかかる税金です。事業税を払ったり組合費を払ったら租税公課に分類するとよいと思います。
水道光熱費
事務所の水道光熱費です。自宅の場合は、家事案分です。
旅費交通費
仕事で移動した交通費、出張した先のホテル滞在費、宿泊費などを計上します。基本的に旅費の一部と勘違いしそうな出張先での食費は計上してはいけません。ひとりの食事はただの生活費です。また、客との食事は接待費にしましょう。
通信費
仕事で使う切手、電話、インターネット、ケータイなどの料金。郵送費や宅急便などの料金もこちらです。
接待交際費
接待の食費や、客先へ持っていたお菓子などなど。フリーランスの場合はこれといって「いっかいいくらまで」といった決まりがないわけですが、大きい数字になりすぎるとまずは目をつけられます、とよく言われます(真相は不明です)
損害保険料
仕事で保険に入ったり(たとえば事務所を借りた火災保険とか)した際の保険料。100%経費で落とせるというアレでは、フリーランスの場合は個人年金基金や小規模企業共済がありますが、それはここには参入しません。
消耗品費
トイレットペーパー、鉛筆やらケシゴムといった小物から事務所で出すお茶、イス、机、家電まで。消耗品の特徴は見た目でなく「10万円以内のモノであること」。作業の簡易化を考えると、問題さえなければすべて消耗品費でもいいのです。
ただし、10万円を超えるモノは、パソコンでもカメラでも机でもクルマでも(あなたが歌手などであれば高額な普段着回しできないような衣装とかも)経費にはなるのですが、いったん資産として計上しなければなりません。その上で、一部ずつを「減価償却費」として今年分ゆるされる分だけを経費として計上します。これが減価償却というしくみです。このエントリではここまでに留めます。
その他自由設定(4〜5コまで)
経費計算をしたところ、「消耗品費が150万円で、ほかが3000円ずつくらいだった。」としたら、なんとなく「消耗品費がブラックボックスだよねー」という印象を受けるので、もう少し明快に経費を分類してプレゼンテーションしたい場合は、その他の項目を自分で立てます。
- セミナー参加費(仕事の情報を仕入れるためにセミナーに多数参加する場合)
- 図書費(本やオーディオ資料を沢山買う場合)
- 印刷費(ものすごく印刷経費がかかる仕事とか。紙やトナー、外注印刷など)
など立て方自体は自由です。一般的な名称ほど、まあお役所的には戸惑いなく受け入れられるかもしれませんね。
雑費
雑費は、銀行の振込手数料など、経費として分類のしようがないものを計上します。
エクセルに入力しよう
手元にレシートがあったのでこれを例に。
エクセルは、こうなりますよね。まず必要項目だけレシートから転記。レシートは保管してください。
でタクシー代は移動に使った交通運賃ですから、当然仕訳分類はこうなりますよね。
簡単ですよね? これをレシートの数だけががっと繰り返せばいいのです。レシートを分類してからスタートすれば、分類は連続コピーでいいわけですから、最悪、金額だけ入力すればOK、スピードアップが可能だと思います。
手元に資料が残っているものはこれでOK。
あとは、大きな経費、たとえば家賃やケータイ電話代、アマゾンでの資料や消耗品購入代金などは、オンラインの情報をチェックしたり、銀行の出金記録を確認して作業する必要があります。
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