TOEIC「900点以下はビジネス英語メールが扱えない」について
たんなる便乗ですが、@knsmr さんが英語力などについてツイートされていたのが面白かったので。
イベントの海外ゲストのチケット手配を旅行代理店に依頼するのに「英語でメールのできる人」という条件があるのだけど、英語誤読のトラブルで困った経験が何度かある。だからTOEICも便利と思うんですよね。900点以下は「ビジネスで英語メールが扱えない」と言える
— Ken Nishimura / 西村賢 (@knsmr) 2017年5月10日
じつは4月に受けたTOEIC(214回)で私がめでたく無事に900越えしてなにか書こうと思ったらこれが出てきたので。とはいえ905点ですから満点には85点足りません。100点満点の90点くらいですね。ですが、確かに私は「英語でメールできる」と思います。
ただ、900点に足らない880点だったときに英語でメールできなかったかというとそうでもありません。ただ700点台のときは、10行レベルのメールは書けても長いものは無理でした。読み切れないので長いものはできるだけ読み飛ばしてました。
日本人だからといてビジネスメールで事務連絡ができると言えない、というのと同じですよね。語学力の線引きの話をしているときに、それ以外の要素を混ぜると、いつまで経っても客観指標で話す慣習が根付かないので良くないと思います https://t.co/pjhzpNbADt
— Ken Nishimura / 西村賢 (@knsmr) 2017年5月10日
上のコメント引用を見て思ったことはこうです。「TOEICで900点とったから英語でメールができるは真ではないのでは?」というコメントに対し、「TOEICを批判しても仕方ないのでは?」ということですが、確かに「TOIECという日本におけるビジネスパーソンが昇級や昇進や転勤先に関わる査定で左右されるために実施・取り組む英語力の試験制度採用状況」の上にある「だからTOEIC対策する」現実を非難して、TOEIC900点の評価自体にバイアスをかけるのはやめましょうというのもわかります。それでもなお、TOEIC900点で英語できないとなげく声(自慢??)を読んだり見るにつけ、いやいややはり前者にも理が…と思ったりしてしまいます。
なお、わたしがそう思う理由は簡単です。だって、RL やっても アウトプットしたことなかったら、「メールができる」のうちの「メールが読める」と対になる「メールが書ける」が抜け落ちてまいますから。まんべんなく英語を会社で使っていて受ける試験ならアウトプットとインプットの能力が同じくらいだろうという前提で、RLを見れるけれども、90点レベルに読めても、一切アウトプットがない環境ではTOEIC LRでは「メールできる」はいいづらいかもしれない。
結局、英語環境ある前提でレベルを確認するための指標として利用している場合の「この点数だよね」という話では真だけど、TOEICの点数が目的化している場合や「昇級ツール対策」である場合は対策での「この点数です」には少し差があるのは明かではないかしら。990点の人が「英語大してできない」とおっしゃってるのにあれですね(笑)。
で、
語学検定の点数は相互に高い相関があるので、どれも似たようなものと思う。で、TOEICを批判する人が見るべきグラフはこれ。TOEIC満点はILRでいうと5段階中の3と中級なんですね。TOEICは英語初級者向けに設計してるのでTOEIC990点でも大した事がないというのは当たり前 pic.twitter.com/ncxbfj9DEK
— Ken Nishimura / 西村賢 (@knsmr) 2017年5月10日
わたしは専門家ではないのでこのILRというのは知りません。相関性のグラフ出所についてはレポートがあるみたいですが、でも、0〜5レベルであれば6分割されているCEFRみたいなものかなと思いますよね。 CEFRだとTOEICは満点はC1レベルとされてますが(ETSのパンフレットも)このILR scoreの5はC2じゃないの? とクビをひねりたくなりました。つまり「中級」という際の共有すべきレベル感です。
でWikipediaを引くと、ILRのLevel 5はCEFRでは想定不可能なようです。ひとつずつレベルが上みたい。英語の能力検定で一番難しいと思っていた Cambridge CPEなんかはC2以上を計測するのでその当たりのレベルを指しているのでしょうか。
では、それぞれのレベル感をサンプルビデオを見てみましょう。
TOEIC 990レベルとされる ILR Level 3のスピーキング↓
ILR Level 3 Speaking – EXAMPLE from DLIFLC on Vimeo.
いやいやこれだけちゃんと喋れたら(アウトプットができたら)すごくいいな〜と思いますけれども(笑)。一応level 2のサンプルも見てみたけどレベルが急に低くなってよくわからなかった。level 2は「カタコトだけど仕事ができるレベル」ですね。ただ、一般にはそのレベルのことを「中級」というのではないだろうか…(初級=ほとんどできない、中級=なんとかできる、上級=ちゃんとできる。で、その上にネイティブ)
ちなみに、ほぼ同じくらいに位置づけられているC1の中のIELTS 7.5の人はこれくらいだそう。
個人的には、こっちのほうがまだやさしいと思うんですよね。というのはおいておいて、これが「中級だから…(気持ち悪く聞こえる/頭痛いの? など?)」というとしたら、私は別に十分だと思うんだけれどなあ…もちろん、会社の社長になってエリートのネイティブを説得したりとか、そういうことになるとさすがに難しいのかもしれないですが…。
で、上級のILR Level 5のスピーキングはこちらだそう。
https://vimeo.com/7296625 (外部に張り込み禁止されているのとほかにサンプルがみつかりません)
well-educated English speaker とのことで、これネイティブでもこういうしゃべりはできない人いっぱいいそうですけれども。
さて、締めの感想としては、このようなスピーキングのサンプルを聞くにつけ、「英語の世界では満点のなかでの中級」以下に位置するTOEIC 900でさえ、英語でメールできるどころか、十分仕事できる! まあ全然十分じゃないんですか?、と私は思います。もちろん外国語話者としてもまだ完璧でないこと=単純なことさえミスするレベルということはアグリーです。(もしこれらのサンプルとTOEIC保持者の実力レベルがふさわしくないならTOEICは一面的なスケールなのかも)
個人的にはILR3レベルが人それぞれ、どのくらい低いイメージかはわかりませんが、十分友達できそうだと思いました。TOEICについては、みんなできすぎるので頑張るかわかりませんが、明かにリスニング聞き逃すのはダメなので、今後もたまにがんばってまいりたいと思いました。
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