『フリーランスのための一生仕事に困らない本』はマンネリ化や、方向性に悩みがちな独立数年目の方におすすめできると思う
めずらしく本を紹介します。井ノ上陽一さんの新刊『フリーランスのための一生仕事に困らない本』を拝読したところとても面白かったので。ぜひ若手のフリーランスの人、ひとり社長の人などにおすすめしたいと思います。
本書は、税理士で執筆業やセミナーなどもマルチに活躍している著者の体験と実践から生まれた、フリーランスのための働き方ガイド。タイトル通り、フリーランスとしてのサスティナビリティを考えている人が何を意識するべきか、何を実行するべきかが、書かれています。
目次からひくと
・一生食うためのルール(一生食うための心構え)
・仕事を作る(自分にしかできない仕事をたくさん作る)
・やりたい仕事が飛び込んでくる(メディア戦略)
・お金の流れを大きくするための投資(お金をまわす)
などがキーワードになっています。
本書の良いところは、ただ食べられればいいとか、大儲けしたいとか、はたまた大義名分を果たしたいというのではなくて、ライフワークをライスワークとするためには(やりたいことと業務が一致する)どうすればいいか?という目線で貫かれていること。これ、なにげにフリーにとっては重要ですよね。勤務先から独立して数年でなぜ壁に突き当たるかというと、だいたい
「せっかくフリーになったのに楽にならなず時間がない」
とか
「会社を辞めたのにやりたくないことばかりやってる気がする」
とか
「大口の会社さんの言いなりに動いてる気がする」
とかっていうなんか残念な感じなんじゃないかと思います。
でもやりたいことやっていたら生活に困るんじゃないかしら…という漠然とした不安と行き詰まり感。
その不安や悪循環にさいなまれると、じゃあ来月の保証してもらえる会社員のがやっぱりいいんじゃない?ってなりますよねー。
本書で述べられているノウハウの詳細はうなずくところ多く、また、これから見習いたいと思うこともいろいろとありました。たとえば、以下のような点です。
◎価格設定に 「○円〜」の〜を付けない。
頼む方からしたら、いったい本当はいくらなの、って不安になりますよね。たしかに。一方で、すべてにおいて単価がないふんわり運営も悪いかと。それでは貧窮する。いうだけならタダなので高く言ってみましょう、というのも冒険ですが、たしかに言ってみても損はしません(笑)。わたしも、見よう見まねで見積りが作れるようになったのが自分が会社勤務で得た中でも有用なスキルだと思っています。
◎異業種交流会から仕事は生まれない
わたしも過去の経験から少なくとも生まれないと思いました。人との出会いと仕事は別かも
◎個性を出しバリアとして使う
ただのいい人は損をするという奴です。テクニックが必要ですが、ほんとに重要です。やりたくない業務をしりぞけ、やりたい仕事を引き寄せる。また宣伝や受注窓口として使うインターネットも1つの世界ですから、オンラインでも嫌なものを寄せ付けずに棲み分ける技術は重要ですよね。
◎ホームページと申告は自分で
これはわたしも同意見なので。世代と業種によりますが、フリーランスなら、これくらいは自分でやってみたほうがいい。ウェブサービスの進化にともなって、細かいITスキルはみんな下がってる。もちろん不要だから下がるんだけれど、実際には必要レベルの知識も付けずに損している人も多そう。
それに申告は儲かったら先生に頼めばいいけれど、お金がない不安はお金がいくら入るか、出るかわからなければいつまでもなくならない。だから自分である程度把握するとよい。
どうですか? ピンときた方はご一読を。(え、なぜ?という人もw)
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ここでいうフリーランスというのは私も含め、モノをともなわずに価値を提供することを売物としているソフトウェア業ですから、自分の仕事(やっていること)の価値を高める(高めないにせよ、せめて低めない!)にはどうするのか?が、仕事にも直結するわけです。ひるがえって、ブレインワークにはお金を払わない企業文化?(ものづくり日本だから?)が一般世間にはあり、これにどう費用項目を上乗せさせられるかが、ソフト業を主としてやっている人には常に課題ではないかと思う。
話が大きくずれましたが、他人に価値を提供できていることをはかる尺度の一つとして、現在は、オウンドメディア、ソーシャルメディアでの支持率というのがありますが、簡単そうに見えて実際にはまったくもって育てるのが困難だという点で(結局は多数決かとは言えるものの)、しばらくは続きそうな尺度だと思う。炎上度とかも含めて立ち位置よくわかりますよね。ま、ソーシャル活動大事ですね。ということでしょうか^^;
あと、本書はあとがきも共感できます。仲間や後進者を育てる、という姿勢です。わたしもひとり編プロとか言ってますが、他人に頼りまくってお仕事させていただいているわけで、ひとりだからこそ、仲間や周囲の人はみな大切なんですよね。会社だとそこセットでついてきちゃってるから、意識する必要ないだけで。そんなわけで、今期もどうぞよろしくお願いいたします。