読後よもやま感想「英語教育の危機」

大学入試や小中高の英語が変わる、ということでぱらっと読んでみました。

英語教育の危機 (ちくま新書)

鳥飼先生はNHKテレビ(Eテレ)の「ニュースで英会話」の司会をされていて、英語を学び直しはじめたときにちょいちょい拝見しておりました。デーモン閣下がゲストで出たりするやつ。

鳥飼玖美子先生の番組解説、とても分かりやすいのでファンなんですが、今回の本は門外漢にはちょっと明快!とはいきませんでした。もうかなり文科省で勝手に決まっちゃったことだからまた書いても仕方が無い…という書く前から徒労感みたいなものはあるのかもしれません。

本の半分近くが2021年から下の学年から順次施行される新しい指導要領の解説と変更点に割かれていました。詳しくは本書を読んでいただきたいですが、私が驚いているファクトを上げながら、間によもやまな感想いれてきます。わたしは英語の教員でも研究者でもない単なる生涯学習者なので本当に感想レベルで。そんなことも知らないのというのはご容赦を。

・小学校で5-6年の英語を教科化しても、英語の先生は配属されない。
・小学校の先生で、中学英語の免許がある人はごく僅か

先生つける予算がないってことですかね? 鳥飼先生は小学校で英語をやるとヘタしたら子供に苦手意識だけを埋め込むだけと以前別で書いてらして、またALTはALTでプロじゃない人の採用など問題あり、とそのときは書かれていたようにおもう。でも、私個人としては、英語ができない小学校の先生(私の想像するところの学校の先生、教職を取っている90年代生まれのいま大卒の子達も含みます。そんな子も多くは発音からして完璧な日本語英語を話します)に英語を習うなら、全授業数ALTと遊ぼでもいいと思うけど……

・目標とする単語数が小学校卒業で700語程度

多い気がしますよね。。。私10年間英語勉強しても、1万も語彙ない気が(1万越えがいまの課題です)。専門資料ではないですが、このブログによれば「中学3年間で本文だけに出てくる新出単語が845語」程度とか。でも文法がゼロのままでは動詞は習いづらいんですよね。もちろん形容詞もちょっと(人称変化しないとはいえ)。名詞と形容詞、フレーズメインで覚えるのかなあ。教科書もできるのだよね。。どんなものになるんだろう。英語が嫌いな先生もいるだろうし、子供が楽しめるように教えられるかな? と心配になります。

・中学でも英語は英語で教えることになるらしい?
・4技能がより重視され、「やりとり」という項目が追加される

「中学、高校で授業を英語で行う」ことは2013年に計画が明かにされていました。「グローバル人材育成戦略」というものの一環なんだそうです。「授業は英語で行うことを基本とする。」という一文があるのだそうです。

英語で英語を教える指導方法についてはブリカンが外部委託を受けて外国人講師を全国派遣し、代表の中学英語教師に対して指導講習を行っていて、その先生方はまた地元に持ち帰ってその他大勢の先生にそこで学んだ内容をさらに広めるということになっているらしい。現状ガリガリと目の前で進められているそうですが、その状況はまったんまであまりよく伝わってないというようなことが書かれていました(指導講習が行われていることも知らない英語の先生もいるとか? 私も報道ではそれ、聞いたことがないです。ブリカンでは任意の講習も募集してるけど)。

以前江戸川区だかどっかの都内の公立中学の英語の先生とご一緒したことがあり、「作文の添削が大変だ」とおっしゃっていた。つまりその先生は子供達に単文であっても作文を提出させて、それを毎週のように全員に戻しているらしい。素晴らしいし、死ぬほど大変そうだなと思いました。
最近では発信力が問われるということで都立高の試験問題にもかならず4文程度以下の作文問題が入っているようなんですが、まず、書かせるだけでも大変だと思うんですよね、なにか思ったことを。なぜかというと通常の学校の試験問題は入れ替え問題や穴埋め問題だからです。あと4択。しかも翻訳と作文って質が違うから、上の先生のような献身的な方がガリガリやらせていかないと伸びないと思う。

「やりとり」については、現実レベルで行われるのはいわゆる「お買い物をしてみよう」「好きな動物について語り合おう」とか、そういうやつだと思います。「ごっこ遊び」のようで中学生の知能レベルに対してはいかがなものかと思う、というようなことがご本では書かれていた。確かにそうだ。けれど、私は、ごっこ遊びでもやってくれればよくないか?と思う。ただ、その発言内容が間違っているままだとやっぱりあんまりよくないと思うんだよね。変なブロークンの。だったら書けばよくないか?とは思う。

「やりとり」と同時に、いまの中学は英語で「プレゼン」はやるところもあるみたい。自己紹介をしたり、習った文法でなにかをお話したりといったことを何回もやるという子の話を聞いたことがある。準備を一生懸命しているので、どれだけまる覚えでも、ちょっとあれはいいな、と思っています。穴埋めと並べ替えだけでは(勘がいいと内容がわからなくても解けてしまうから結局は実力が付かなくて)絶対だめだと思うんで。

・高校では英語で英語を教える、はすでに実施されていた
・現場反発があり、日本語も適宜入れて良いというふうになったらしい

実施されてたとは知りませんでした。一部なのかな?

英語学校には帰国生がよくいる。学校では間に合わないからだ。こういう子は外資の社会人以上のレベルな一方で、ちょっと大人の語彙と作法が足りないなみたいな感じなんだけれど、流暢な発音で若者っぽい話し方の高校生などに「学校で英語で発表とか誰が指導してるの?ネイティブチェック入れるの?」と聞いたら「うーんうちはスーパーグローバルスクール(ということは公立か、複数あるのでどこかは不明)なのだけど、発表を英語でやったけど、担任の先生も私達(帰国)が書いたことを分かってないように思うこともある」と言っていた。適切な添削が入ってないとは(笑)。

・センター試験が共通テストになると民間試験が導入される
・共通テストの提供はなくなり、英語入試問題は民間テストのみになる?

こちらの本の中では断定されてませんでしたが、ネットなどでは23年以降は民間テストのみで英語入試問題は民間テストのみになるとか??とも。

そもそも私も報道を勘違いしていて、「共通の入試英語問題はある」が「民間の試験で合格すれば英語の試験が免除になる」のかと思ってましたが、そうでなく、「4技能のためには民間試験のどれかを受験する必要がある」が指導要領の変わった世代に切り替わったら「共通の大学入試英語問題は用意されなくなる」ということが言われているとか?

これはちょっとなーと思いました。たとえば1つの私立大が「うちはもう英語のテストやりません」とかはしゃーないけど、国立もなの?? これはやっぱりおかしくないだろうか。だって

じゃあ各試験の「4技能」はどうやって指導していくの?

ってなりますよね? 学生なんだからTOEFLかIELTSで留学にも対応って切れるならそれまでだけどそれでも試験の内容もこつもだいぶん違う。そのうえ入試のかわりになる試験は6種類とかバライエティに富んでいるらしいし、小中学生はいまでも英検をメインに受けているはず。

4技能テストに向けて勉強するのは(“どのテストならいい”とかは選べないですけど)私はよいことだと思うんだけれど、どこで教わって勉強するかといえば、、学校の勉強やってりゃ受かるってはずがないわ。そう考えると中学や高校で、民間の試験対策はメインにできるはずがない(べきではない?)と思うけど。現状では、「4技能」に受かるには、明かにリスニングもライティングもスピーキングも対策には少なめのようだし(増えているけれど)、対策のためには特殊なテーマで語れる練習が必要とは思うんですよね。。

なかなかヘビーな話でしたが、改革というか蓋を開けてみると実際はそこまで変えられなかった、ということはあるのかもしれません。最近のことですけど、学習ボランティアへ伺ったとき、英語はできない子が多く、英語の科目が嫌いな子は半分以上(大半)で、その場合は文法とか読むとか以前に、dとbが逆!みたいなところからやり直すみたいです。そういう中であれこれ学校の先生が指導ややるべきことが増えていくのはほんとうに大変だなあ。日本大変だなあと思いました。

これね、あとの世代から「グローバルだから」などと「ゆとり」のように呼ばれないことを願いたいですよね。もちろんいい意味のグローバルになっていたらよいけれど。

こういった指導要領からのファクトと先生の考察以外にも、英語教育の改革の歴史とか刈谷剛彦先生のコメントとかいろいろ面白いところがありましたので、英語教育方面が気になる方にはおすすめです。

話はそれますが、「ニュースで英会話」は以前ベネディクト・カンバーバッチも出た(会場でなくVTRですが)ことあるんですよ。(YouTubeには上がってないのかもしれませんが、とてもよい内容でした。今じゃ2〜3分程度の放映インタビュー、しかも「英語教育番組」にぽーんと出るなんで難しくなってしまったかと思いますが。AbsorbをObserveにインタビューアーの先生が聞き間違えたのを「Observeも同じく重要です!」とスカサズフォローしていた気配り者です)